佐藤友美さんの「書く仕事がしたい」を読みました。
これまで文章の構成など文章術について学んだことはありましたが、本書にあっては、書く仕事とはどのような仕事なのか、ライターとしてのご自身の経験をもとに、書くこと以外のことを中心にノウハウが書かれています。
ブログをやり始めた方など書く仕事に興味がある方はもちろんのこと、そうでない人の場合でも、とても参考になると思います。
ライターとは
- 依頼を受け、取材をもとに原稿を作り、納品する仕事
- 相手の意図をくみ取り、最も適した日本表現に置き換える翻訳に近い仕事
- 「取材力、相場観、編集・構成力、表現と演出」を駆使して、問い、選び、伝える人
- その人の話と世界との接点を探り、どの接地面で原稿を書けば、一番面白くなるかと考える仕事
書く仕事に必要な技術
インタビュー
- 事前準備の精度によって聞き出せる話が変わる
- クリシェ(予定調和)を超えてからが本番
- 素人目線で、読者代表としてのレベルまで、どこが画期的なのかわかるまで勉強する
- 時系列(徹子式)で聞き、テーマ(タモリ式)で深掘り
- 淀みなく話しているときは深掘りできていない、「あのー」とそーと手を上げて遮る
平均点以上の文章
- 一文を短くすること(40〜50文字で句点)
- 因果関係をはっきりとすること(順接なのか逆説なのか)
- 接続詞は読み手への思いやり
企画を考える
- 相場感をもつ
- 編集者の目線をもつ
- 世の中を取材者として深く観察
- その日のスケジュールをブロックして、企画、自分の将来を考える
過去が咲いている今、未来の蕾で一杯な今
河井寛次郎
書くこと
- どこ(視点)からどこ(視座)をどのように(語り口(順接か逆説))見るか
- 目の前の人のことを、一生懸命知ろうとする
- 世の中で起こっていることを、一生懸命知ろうとする
知ること。
知ろうとすること。
それは、ほとんど、愛することに近いと感じます。
佐藤 友美. 書く仕事がしたい (Japanese Edition)
文章を書くことは世界を狭める
体験を書き起こしたことで忘れなくなったと思った部分もあるし、書くことで書かなかった方の記憶は急速に失われていった。(中略)
思考は「気体」みたいなものふわふわしていて、つかまえどころがない。考えたことを言葉にすることは、思考を液体化するようなもの。言葉は流れ去り、形が変わる。思考を留めておくことは、文章を書くことで固体になる。言い換えれば、物語化することになる。物語化して固体になった文章は時間も空間も超えて人に差し出せるようになる。この流れゆく言葉たちをほんとうにこの物語に押し込めて良いのだろうか。
佐藤 友美. 書く仕事がしたい (Japanese Edition)
感想
これまで接点のなかったライターという「書く仕事」について、垣間見ることができ、とても面白かったです。私自身、書くことを通じて、もっとたくさんのことを知りたいと思いました。
ちなみに、本書を読み進めているうちに、以前に読んだ「女の運命は髪で変わる」の著者であることが分かりました。(勝間和代さんが紹介していました。)
ジャンルは異なりますが、とても面白かたのを覚えています。男性にも共感できるものもあり、妻への理解にも繋がりました。
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